ウルトラマン(初代)

ウルトラマン第1シリーズのエピソードは、明朗だが社会派な、心の琴線に触れる話ばかりだ。

代表エピソードは「故郷は地球」や「撃つな!アラシ」「さらばウルトラマン」など多岐にわたる。

 

「故郷は地球」については、宇宙飛行士が火星に取り残された結果、怪獣となって人類に報復するために地球に飛来するというシリアスな話。

ウルトラマンに倒された、ジャミラこと火星探査員が犠牲になったことを悼む高官たち。しかしイデ隊員は人間の身勝手さを感じ、モノローグでそれを一人批判する。

 

「撃つな!アラシ」はアラシ隊員が怪獣と戦う本質を問いかけられる話。怪獣ザラガスは生物と言えないほど強大な怪獣。どうやっても勝てない。

ウルトラマンも手を焼く相手を、科学特捜隊がチームワークで乗り切る。ザラガスウルトラマンだけに頼らず倒そうとする、科学特捜隊の奮闘が見どころ。

 

「さらばウルトラマン」は特撮世界のタブーである、ヒーローの完全敗北を扱う。ゼットン星人は世界侵略のために各地に円盤を派遣し、進攻を始める。

科学特捜隊日本支部も標的になり、敗北濃厚となりかけたピンチに、ウルトラマンが登場。怪獣ゼットンと戦闘にもつれ込む。

数々の強敵を屠ってきた必殺技がすべて通用せず、ウルトラマンは地面にひれ伏す。救い主を失った人類は、自らの手と最新の兵器でゼットンを打ち破ることに成功する。

宇宙警備隊隊長のゾフィーは、地球の平和は人類自身が守るべきだとして、ウルトラマンを連れ宇宙に旅立つ。

 

科学特捜隊ベムラー」などの没プロットを経て完成したのが、ウルトラマンという企画。ウルトラマンのデザインは、成田亨氏の渾身の、無生物およびアルカイックスマイルが際立つ造詣が光る、秀逸なものだ。

怪獣デザインはどれも異形な感じが際立たず、どこかコミカルだ。親しみの持てる姿は、憎めない魅力に満ちている。

科学特捜隊のオレンジ色ユニフォームは、近年の消防服の色に似ている。ウルトラマンを見た現代の子供たちは、消防隊を見かけるたびにヒーローを想起するだろう。

1話完結のエピソードがほとんどのため、どの話から視聴しても面白い。最近始まった、「ウルトラサブスク」で視聴するのがおすすめ。ウルトラシリーズのほとんどが月額で見放題だ。